覇王・董卓5

この命をうけて上洛してきた諸侯の中に董卓がいた。
彼はもともとからして西域出身で、漢の外で暴れまわっている羌族という異民族とも交流があったようである。
その彼が都での騒乱に便乗して天下を手中に収めんと洛陽に向かって出発した。
……天下を取るためかどうかは実際のところ分からない。
何故なら、この段階の董卓の立場で、天下を取れるのには十分な条件が揃っていないからだ。


しかし何かしらの野望に燃える董卓は一刻も早く洛陽にたどり着く必要がある。
率いてきた兵数は3000人あまりであった。
西域には董卓子飼いの兵士が20万もいたようであるが、まさかこれらすべてをつれてこれるわけが無い。
西域は常に騎馬民族等の外敵が存在していたし、また一刻を争うのに全軍を一気に集めることなど到底不可能というものだ。


外敵の備えのために守備兵は多く残していく必要もある。
なぜなら董卓の基盤は西域だからだ。
そしてすぐに号令をかけられた兵士をかき集めて急行した、というのが現実だろう。
それに補給の問題もある。
あまり一度に多数を連れて行けば、食料を確保することも難しくなる。
とは言えこれらの条件は他の諸侯も同じであるが。


こうしていの一番に都洛陽にたどり着くわけだが、ここで董卓には僥倖と言うべきものに遭遇する。