社会保障

 年金問題や、社会保険庁改革で議会が熱くなっている。


 それにしても年金給付の過去5年以上の未払いは支払わないとした現在の法を曲げて免責なしで支払おうという案がでているようだが、本当にそれで大丈夫なのか?
 5年以上経っていても支払うとした場合、950億円の費用がかかり、そのうち60億円は一般財源、つまり税金だ。
 890億円は年金積み立てで支払うこととなるようだが、今のままでも赤字確実なところで、さらにまだ出費がかさむとは。

 そもそも950億円の算出根拠もなんだか信用できなさそうな怪しいものだが、少なくとも2倍3倍は未払い金として出てくるのだろう。

 それに比べれば生命保険各社の不払い350億円など、かわいいものだ。
 金融庁も監督する先を変えればよろしいのではございませんでしょうか?

 民間の保険は加入者での相互負担だが、社会保険や年金は全国民負担の強制加入で、しかも足りなければ税金が投入されてしまう。
 たいして税金は払ってない人でも消費税は支払っているわけなので、全国民強制加入保障制度なわけだ。


 年金制度などは、始まった当初から人口が右肩上がりで増加して行くことを前提としたものだった。
 だから制度を始めた瞬間に60歳を迎えた人は払ってないのに年金がもらえた。
 それはそれで結構なのだが、その前提が崩れた以上は内容も変更して行かなければならない。
 しかし、見たくない現実には目をそらしていたが故にこの低落である。


 日本国政府は国民に優しいのである。
 国民が被害を受けるのを黙って見過ごすことができないのである。
 感謝しなければならないのかもしれない。
 しかし、感謝している間にも腐食は進み、近い将来は壊死していることだろう。

 腐食を断つには、痛みを伴っても「断つ」しかないと私は思う。

 今、政治家が討論している内容はいかにして腐食した部分を一時的に治すか、しばらく進行を止めるかなどの議論であって、腐食を「断つ」話はしていない。

 「現在の社会保障制度は、現状に全く合致しておりません。したがって、今まで支払って頂いた方には申し訳ないが、国家が転覆しないために、協力して頂けないでしょうか」
 極端だが、これくらい言ってくれる政治家はいないものかな。もちろん代案とその根拠も添えて。