寄付金条例

 寄付金条例が市町村に続々と導入されている様子である。


 少し前に「ふるさと納税」の話があったが、この税制を導入するならば、寄付金控除を広げてはどうか?という対案が出ていた。

 簡単に説明すると、「ふるさと納税」とは、自分の生まれ育った地方自治体に住民税(地方税)の一部を指定して納税できるというものだ。
 これにより、本来は今住んでいる市町村に支払う税金が地方に流れるので、地方の活性化につながるというわけだ。
 人がたくさん集まっている自治体から、人口の減少している自治体に税を移動させる働きができるというもの。
 これにより、「国税」という中央省庁向けと、今現在住んでいる自治体と、人口の減少している地方と、3種類の納税先ができあがる。

 しかし、引越しをたくさん繰り返している人はどこが「ふるさと」なのか、また通常収めるべき自治体の減収につながるなど、様々な問題点が指摘されている。
 そこで「寄付金控除」という所得控除が登場してきたわけだが、こちらは寄付金を納めた場合に、その分支払う税金が軽くなるというもので、最高5000円控除だったものが、いつだったか10000円まで控除の対象となり、枠が広められた。
 こちらの制度だと、自分が好きな自治体や、赤十字公益法人など選んで寄付ができ、その分税金が軽くなるので、自由度はより広いと言うわけだ。
 とは言え現状では最高10000円控除(所得税の仕組み上、10000円減税となるわけではない)なので、それ以上のメリットはないし、わざわざ寄付をする必要はないので、若干性善説よりな発想となっている。
 対して「ふるさと納税」は、支払うべき税金の額は決まっていて、それをどこに振り分けるかという性質なので、微量性悪説よりか?


 とまあ、このような経緯がある。

 それに先立ち、地方自治体では、使い道を限定した基金を作り、寄付を集めて、一定額まで積み立てられれば予算化して、最初に公言していた事業のために使っていくというものがあり、これを「寄付金条例」という。
 例えば、「ホタルの生息地を守る」「森林整備」「炭鉱・映画文化の保存」「子育て支援センター整備」などが現在寄付金条例で制度化がされている模様。

 使い道がハッキリしているところがこの制度の特色で、あまり意味のなさそうなものや明らかに財源赤字の補填っぽいものには寄付の集まりも振るわないらしい。
 「ふるさと納税」「税額控除」「寄付金条例」と、いろいろ国民のお金の使い道を考えてくれているわけだ。
 私などは税金などは全て目的税化すれば良いと、極端な考えを持っている。
 支払う税金の額が決定すれば、それを国家や自治体の提案する事業に自分で判断して、そこに税金を落とすという按配だ。
 

 ともかく、税金の使い道にはくれぐれも無駄や誤りがないように、政府も自治体もしっかりと舵取りをお願いしたい。