RACER X / GETTING HEAVIER
ドラムが映えると曲が引き締まる。
このアルバムの醍醐味はドラムを追っていくことによって明らかにされる。
スコット・トラヴィスと言う方がドラムを担当しているが、彼ほどハードロック&へヴィメタルのためのドラミングを披露している人はいないのではないかと思うくらい、頼もしく、安心感を与えてくれる。
20世紀不屈の名盤であるJUDAS PRIESTのPAINKILLERでもドラムで参加しているが、彼の臨場感がどれほどジューダス・プリーストに貢献しただろう。
でしゃばり過ぎずに、決めるところはビシッと決める。
私はハードロック&へヴィメタル業界では第一位に輝くプレイヤーだと太鼓判を押します。
そのドラムが、意識的にか音が前に出てプロデュースされているのが有り難い。
そして、言わずともがなギターはポール・ギルバート。
実はそれほど好きなタイプのプレイヤーではなかったのだが、このアルバムで評価が変わりました。
昔から、速引き高速プレイには圧倒されてはいたものの、もう一歩の何かが足りないなと感じてた。
しかしここでは満たされています。
何が足りてなかったのかが今一つ答えが出せないのだが、あえて言葉で表現するなら「自由度」とでも言えば良いのかなと思う。
開放的にプレイしている気がする。
MR.BIG時代の作品は某氏との競争心か対抗意識があったような気がする。
それはそれで大切なことなのだが。
そして何よりスコット・トラヴィスとのコラボレイトが作品の幅を広げている。
聴き応えは十分にある。
なんだかネオクラシカル?張りのギターソロをポールが奏でているのも微笑ましい。
1〜3曲目に耳残りの良い曲が固まっているので、ここでギターとドラムのコラボ感が味わえる。
ヴォーカルには賛否両論がハッキリ分かれる気配有り。
私はちょっときつかった。
歌を聴かせてもらうという楽しみはできなかった。
まあ、それを補って余りある要素でいっぱいなので、是非楽しんで頂きたい。
なんなら耳をドラムとギターにフォーカスを当てて聴くのが吉か。
このタイプのヴォーカルが大丈夫な方にはこの限りではないが。
本日の一押し
12曲目「Catapult to Extinction」
私には肌が合わない、ヴォーカルがない。
つまりインストです。
存分にポールのギターとスコットのドラムを堪能できる。
これがハードロック&へヴィメタルなのだ!若者たちはこれを聴きながらヘッドバッキンすることをお勧めする。