サロメの乳母の話2 塩野七生
短編小説第二段。
「サロメの乳母の話」
「ヨハネの首がいただきとうございます」
ユダヤ王の娘サロメがまこと艶やかな舞を披露。
その褒賞として求めたものがヨハネの首。
〜バプテスマのヨハネ〜 世界史小事典より
イエスの先駆者とみられる1世紀前半のユダヤの預言者。
ヨルダン川で悔い改めの洗礼を施した。
中略。
ガリラヤの領主ヘロデ・アンティパスの不倫を責めて殺された。
乳母の一人称なのでサロメが何を考えているかは、乳母の洞察による。
「善意に満ちていて、しかも行いの清らかな人が、過激な世改めを考え説くほど危険なことはないと思うけど、乳母はどう思う?」
サロメは何故、ヨハネの首を欲したのか?
物語を進めるにつれて合理的な理由は明らかになるが……
歴史というのは男性が男性の立場と見解で塗り固めた虚構の学問ではないかと思うことがある。
ここは一つ、男性を見る目ならば本能で観る女性が、歴史を彩る者たちを見た感想が聞きたいものだ。
その一つの解釈が楽しめるのが、この小説最大のポイント。